書籍・雑誌

2022年3月26日 (土)

時計(時間を計る?)

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 私たちは3次元で生活しているので、時間を自在に動かすことはできずに、過去から未来へ一定のスピードで動くという(時計で計る時間の概念の)制約の中で生活せざるをえないです。
 時間は五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)で感じることが出来ないので、時間の感覚は人それぞれだし、状況によって長く感じたり短く感じたり伸び縮みするようにも感じることがあります。

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(↑脳の時間旅行:なぜ時間はワープするのか) 

 以前読んだ『Time Warped(邦題=脳の時間旅行:なぜ時間はワープするのか)』と言う本の中の第3章に、面白い質問がありました。

 日本語版は読んだことがないので英語なのだけれど、質問は

Next Wednesday's meeting has had to be moved forward by two days.

What day is the meeting now?(←原文)

来週の水曜日の会議は2日先に移されなければならなくなりました。
さて、(移動後の)会議は何曜日ですか?(←私訳)

日本語の訳は私なので、上手く原文の意図が伝わっているかどうか不安なのですが…

あなたの答えは?

答えと解説は続きを読むから…

 

 

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2019年5月15日 (水)

Mindset マインドセット「やればできる!」の研究 & 4月中の出来事など

Dsc00078s  先学期に履修していたPsychology of Adjustmentのクラスで、self-improvement(自己啓発)を実践してレポートを書くという課題がでました。

 クラスメイトは『PTSDを克服してBBQパーティーをする』とか『学業成績を上げる』とか『煙草をやめる』とか『怒りをコントロールする』などの課題を決めて取り組んでいました。
 私の課題は『新年の抱負を継続する』で、毎朝朝食前にラジオ体操をすることと、毎日本を読むとことを5週間(課題を始めた日からレポート提出まで)続けてペーパー(レポート)を書くことでした。

 毎日本を読むというタスクで、キャロル・S・ドゥエック著の"Mindset -The New Psychology of Success "(邦題:『マインドセット「やればできる!」の研究』)を読んだのですが、面白かったのでリビューを書くことにしました。

51iwa8gbil_sx340_bo1204203200_ (←日本語訳の本
楽天ブックより画像を引用) 

 著者のドゥエックは若い研究者だった頃、『人はどのように失敗に対処するのか』に興味を持って研究調査を始めます。
 ドゥエックは、難しい課題に生徒がどのように取り組むかを調べるために小学校へ行って、子どもたちにいくつかパズルを与えて解かせる実験をすることにしました。
 子どもたちに与えたパズルは最初のものは年齢相応に易しいもの、次のパズルは難しいもので、著者は子どもたちが難しいパズルを解くのにどのように振る舞うのか感情はどうなのかを観察していました。
 その時の様子を観察していて、子どもの多くは難しいパズルを与えられると、やる気を失って、唸ったり、汗をかいたり、苦労しながらなんとか失敗しないようにしようとしていましたが、中には、難しいパズルを与えると「僕、挑戦が好きなんだ!」とやる気満々だったり、嬉しそうに著者を見上げながら「ねえ、これって(新しい知識を提供するもので)私にとってためになるんだと思うんだけれど…」という失敗を恐れない子どもたちがいることに気が付きました。

 著者は、これらの失敗を恐れない子どもたちについて、実験をしたり他の研究者の論文を読んだりして研究して、人の思考には才能や能力は固定していて努力では変えることができないと考えるfixed mindset「硬直マインドセット」と人間の資質は努力によって伸ばすことができてその成長の過程に喜びを見出すgrowth mindset「しなやかマインドセット」の2つに大雑把に分かれていて、人はどちらかひとつに属しているのではなくて「硬直マインドセット」と「しなやかマインドセット」の混合で場面や状態によってどちらかが強くでるのだという結論に至ります。

 この本では著者は「しなやかマインドセット」のパラダイムを持つことに肯定的で、それを「しなやかマインドセット」と「硬直マインドセット」の実例を挙げることで示しています。

 この本を読んでみて、以前に記事にした"kids are worth it!"(邦題:『子どもに変化を起こす簡単な習慣』)の親のタイプを「レンガ壁(支配や秩序に重きを置いた規則に厳しい)」「クラゲ(無秩序、ネグレクト、不安定)」「背骨(親が手本を見せて子供を励ます)」の3つに分けた考え方と似ているなぁ…と感じました。
(「レンガ壁」が「硬直マインドセット」で「背骨」が「しなやかマインドセット」にあたる)
 また、これも以前の記事にした"Nasty People"(邦題:『どこにでもいる「イヤな奴」とのつきあいかた』)の「イヤな奴(他人を卑しめることで自分の優越感を得る、自分の非は絶対に認めない)」と「生来の人(間違うことを恐れない、間違った時は直す)」の考え方にも似ているなぁ…
 その他にも、『七つの習慣』の著者が書いた『第3の案』の考え方と共通する部分もあり、いろんな意味で興味深い本でした。

 

 

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2017年7月31日 (月)

The 3rd Alternative
第3の案

Dsc09907s 5月~6月の中旬にかけて、スティーブン・R・コヴィ-著の『The 3rd Alternative』(日本語訳版は『第3の案 成功者の選択』)を読んでまとめを書いていました。

 読んでまとめを書く事になったわけは、ここ数年夫婦間でコミュニケーションがうまくいかないため、今年の頭くらいから夫婦でカウンセリングに通っていて、私がに読むように勧めたけれどが読む時間がないと話したので、 カウンセラーから(英語で)まとめを書くように宿題がでたためです。
(カウンセラーも読んでいなかったので、内容の要約を知りたかったのもあると思う。)

 折角読んで要約したので、リビューを書く事にしました。

 スティーブン・R・コヴィ-はベストセラーの『7つの習慣』の著者。
 『The 3rd Alternative』は『7つの習慣』の中の第4の習慣(Win-Winを考える)、第5の習慣(まず理解し、そして理解される)、第6の習慣(シナジーを作りだす)の3つの習慣について更に詳しい説明と応用を実例などを交えて書かれた本。

第1章と第2章で3rd Alternativeについて説明し、第3章以降が実例を踏まえた解説、になっている。

この本の内容をもっともシンプルにまとめたのが↓の画像

Img_0003s この図と下にかかれている短いシンプルな説明がこの本に書かれている考えの全てと言って差支えないだろうと思います。
 この本を読んで感じたことは(『7つの習慣』もそうだけれど、)シンプルな考え(原則)なのにも関わらず、多くの読者が著者の伝えたかった事を理解して読者自身の生活に応用するのは難しいのではないか?ということです。
 著者もその事を知っていたので、実例をいくつもあげたり、図を使ったり、実践リストを提示して試すことができるように、あの手この手をつくしたのだと思います。

 この本で紹介されている考え(原則)を理解するにはインスピレーションというか、ある意味悟りのような境地(著者はパラダイム・シフトと言っている)が必要なのじゃないかと…
 かといって、スピリチュアルな本でも哲学の本でもない。
極めて現実的な内容で一つ一つの例はわかりやすいのだけれど、それらの例の根本にある考え方(原則)が自分の実際の生活の場面で起こっている事とどのように関わっているのか把握(理解)しにくいと思います。

 私の知り合いの何人かは、「スティーブン・R・コヴィ-の本はわかりやすいけれど、綺麗事で、現実は必ずしもその本に書かれているようにはならない」と懐疑的なコメントや「本に書かれていることはあまりにも常識で、今更本なんか読まなくても知っている」と、本を途中で読むのを止めちゃった人も…
 確かにくどいくらい実例が多いし、わかりやすい例が多いため元になる考えも浅薄だと勘違いされちゃうのがこの本の残念な所かもしれない…

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2016年7月14日 (木)

図書館で勉強&ポケモンGO

Img_1241s 5月のはじめに、春学期が終わって夏休みに入った怪獣
 5月の下旬(24日ころ?)から、図書館でグループ勉強室を借りて、月曜日から金曜日の朝の二時間親子で勉強している。

 前半の1時間はリーディング。
(現在、怪獣は『パーシー・ジャクソン』シリーズを読んでいて、私は『Time Warpped』を読んでいる。)
 後半はライティング(エッセイを書く練習)をしている。

Img_1276s(←ハリーポッターシリーズの8作目の宣伝の看板
2016年7月31日に前編と後編が同時発売らしい。)

 6月の後半になった頃から、公立の学校が夏休みに入って、図書館でもイベントやお知らせの案内板が沢山掲示されるようになったし、学齢の子供や一緒に勉強する(多分)親子連れも多く見かけるようになった。

 インデペンデンスデーのお休みが明けた頃から、図書館や図書館の周りをスマホを持ってうろつくティーンエイジャーが増えた。

 中には何もない所で立ち止まって写真を撮っているように見える子もいたりして、こんな所で写真を撮って何をしているのだろうと不思議に思っていた。

Img_0367s(←怪獣のスマホに入っているポケモンGOのアプリのアイコン:左の端の一番下のアイコン)

 やっと今週、それらの謎の行動が『ポケモンGO』というGPS(位置情報)を利用したゲームをプレイしていたからだということが判明。

 怪獣も既にアプリをスマホにダウンロード済みだったので、ゲームの画面を見せてもらって、いくつかはスクリーンショットで撮ってもらいました。

 『ポケモンGO』は、アプリもプレイも基本的には無料で、課金制の特殊アイテムなども配信予定らしいです。

Img_0372s_2(←地図上にポケストップや近くにいるモンスターが表示される。
写真はポケストップのサイン)

 ポケストップというポイントでは、モンスターボールやアイテムを手に入れることができるらしく、地図に表示された場所と実際の場所の写真を頼りにポイントに辿り着いて、場所の画像をスワイプすると、スマホの画面にアイテムが表示されるので、アイテムをタップして入手。

 図書館など、公共の施設の周りにはポケストップが多いらしく、勉強が終わって図書館の周りを散策してみたら、建物の周りだけで4カ所くらいのポケストップがあった。

Img_0369s(←図書館の勉強室の中でキャタピーを発見!)

 ポケモンが近くにいると、スマホがバイブレートするので、画面をチェックするとカメラに写った背景に、ポケモンが表示される。

 画面の下に出ているモンスターボールをモンスターにめがけてスワイプして投げると、モンスターをゲットできる。
(図書館で立ち止まって写真を撮っているようにみえたのは、モンスターボールをスワイプしているところだったらしい。)

 うまく投げられなかったり、時間がかかりすぎると逃げられるし、中にはモンスターボールをかわすモンスターもいるみたい。

Img_0370s(←ポケモンのゲットに成功した瞬間)

 ポケモンの捕獲に成功すると、ポケモン図鑑に記録されて、捕まえたポケモンのレベルなどのデータの画面が表示される。

 今までのポケモンのゲームと同じように、捕まえたポケモンは進化させたり、交換したり、トレーナーのレベルが上がるとジムに出入りして、ジムで他のトレーナーのポケモンとバトルさせることもできるらしい。

Img_0368s(←捕獲に成功したコダックのデータ画面)

 今までのゲームとは違う点は、ゲームの中だけの架空の場所ではなくて、地図で表示された現実の場所に実際に自分で歩いて行ってポケモンをゲットするという、リアルの世界とバーチャルの世界の混ざったところが、このゲームの面白いところだと思う。

 図書館の帰りに怪獣と一緒に歩いていたら、2人組や3人組の10代の子がスマホを片手に、歩いているのとすれ違った。

 中には自転車で回っている子もいたし、「ポケモンGO?」と声をかけてくる子もいた。

Img_1279ss(←図書館の近くの遊歩道を歩くプレーヤーたち)

 スマホの地図を見ながら歩くグループが一杯で、いつもは静かな図書館の周りが、いきなり有名な観光スポットになったような感じでにぎわっていた。

 図書館の近くの小さな広場に、ポケモンジムがあるらしく、その周辺でうろついている子がかなり多かった。

 配信されてまだ間もないのにかなりの人気の様で、アクセス過多で時々サーバーが止まってしまうことも…

Img_0366s(←アクセス過多でサーバーの応答待ちの画面)

 同じ場所でも夜と昼では捕まえられるポケモンの種類が違うといううわさがあって、夜出歩く人もいるみたい。

 また、位置情報に使うGoogleのアカウントの個人情報やその他の個人のアカウントの個人情報の保護の問題や、ポケモンGOを利用して、ポケモンやアイテムを取りに来るプレーヤーを待ち伏せて、銃で脅して強盗を働く事件が早くも起きていて、楽しいだけじゃないトラブルも多発中の模様。

 この夏は、スマホ片手に歩き回るポケモントレーナーをどこに行っても見ることができそう。

 私にとっては、普段会話のない怪獣と会話できるチャンスなので、このゲーム有難いんだけれどなぁ…

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2016年7月 5日 (火)

Time Warped(脳の時間旅行:なぜ時間はワープするのか)

Dsc07478s ひとつ前の記事を書いていて、私たちが(時計ではかる)時間という概念を理解する(獲得する)のはいったい何歳くらいなのだろうか?

 もう少し年齢上がって時計が読めるようになっても、大人が時間と認識している(時計ではかる)時間の存在に気が付くのはいつなのだろうか?

 時間は一定の間隔で一方方向(過去から未来に向かって)進んでいるという(私たちの社会で共通の)認識が定着するのはいつなのだろうか?

 など、時間の感覚(知覚)について、色々考えていたら、時間の知覚に関する面白そうな本を見つけたので、図書館でかりて(この記事を書いている時点で)読んでいる最中。

 本の題はTime Warped(原題)で、日本語訳の題は『脳の時間旅行:なぜ時間はワープするのか』。
 著者はクラウディア・ハモンドで日本語訳者は渡会圭子。
 ジャンルは一般向けのサイエンス本です。

目次は、

◎はじめに : なぜ時間はワープするのか

◎第1章 : 時間の錯覚
・時間のいたずら ・うつ病になると時間がゆがむ
  ・体温が高いほど、時間の流れが遅くなる ・クロノスタシス

◎第2章 : 脳の中の時計
・内的時計を探る冒険 ・昼休み前なのに一日の仕事が終わったと思う男
・感情とリズム ・脳は自分で時間を計っているのか

◎第3章 : 月曜は赤い
・混乱した時間地図 ・SNARC効果
・言語が時間の感じ方を変える? ・時間が動く派? 自分が動く派?
・時間を巻き戻す

◎第4章 : なぜ年をとると時間の流れが速くなるのか
・トータル・リコール(完璧な記憶) ・望遠鏡ごしの人生
・時間タグのついた記憶 ・一〇〇〇日が転換点
・思い出の隆起 ・ホリデー・パラドックス(予期と追想)

◎第5章 : 未来を思い出す
・イヌは来週のことを想像できる? ・起こらなかったことの記憶
・人間の知性の極致 ・最高と最悪
・楽観的な思い込み ・幸せになる時間志向 ・時間の深さ

◎第6章 : 時間の流れを変える
・課題(1) 時間の流れを遅くするには?
・課題(2) 時間の流れを速くするには?
・課題(3) やることが多すぎて時間がないときは?
・課題(4) 先の計画が立てられない場合は?
・課題(5) いつの出来事か、より正確に思い出すには?
・課題(6) 将来を心配しすぎないためには?
・課題(7) 今この時を生きるためには?
・課題(8) 将来、どう感じるかを予測するには?

(↑目次はアマゾンより引用)

 まだ第2章を読み終えて3章を目を読んでいるところなので、本全体についてはコメントできないのですが、1章と2章では、
 熱の出ている間は時間の感覚が違うんじゃないかと考えた学者が病気で寝ている妻の体温を測って、60秒数えてもらって実際の時間をストップウォッチで計るという実験を妻が病気の間48回もやった話や、
 光の届かない氷河の下の洞窟で、時計を持たずに一人で2か月間生活したらどうなるかという実験など、
 時間と私たちの知覚についての研究やトリビアがちりばめられていて、発達障害者の時間の知覚の例もあったりして、興味を持ちながら読める作品だと感じています。

 英語(原文)で読んでいるので、日本語訳がどうかはわからないのですが、日本語訳でのアマゾンのレビューを見ると高評価と低評価にバラつきがあるようです。

 

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2015年8月31日 (月)

As a Man Thinketh
「原因」と「結果」の法則

Dsc04833s As a Man Thinkethはイギリスの哲学者ジェームズ・アレン著の1903年に出版された自己啓発本。
 日本語訳は「『原因』と『結果』の法則」で、2003年にサンマーク出版から単行本が出ています。
(それ以前にも日本語訳が出版されていたかどうかは不明。)

 この本にたどり着いたのは、アール・ナイチンゲールの著作「人間は自分が考えているような人間になる‼」(原題:Earl Nitingale's Greatest Discovery)を読んでいて、本の内容に関連のあるナポレオン・ヒルやジェームズ・アレンの著書も読んでみたくなったからです。

 この記事の画像に使われている本には、As a Man ThinkethとEight Pillers of Prosperity(1911年のジェームズ・アレンの著書。題を日本語直訳すると「繁栄の8本の柱」)と、ジェームズ・アレンの生涯と作品についての簡単なまとめが含まれていて、Eight Pillers of Prosperityには、8つの原則を神殿の柱に見立てて説明されていました。

 人格主義を元にした応用哲学・自己啓発本で、「宇宙を治める法則(原則)があって、その法則にしたがって生活している人は繁栄する、法則を無視した場合は一時的な成功は納められるかもしれないが必ず失敗し没落する」という考えがAs a Man Thinkethの主題になっています。
 この本で述べられている原則(正直、誠実、正義、智恵、洞察力、忍耐、冷静、勤勉、自立など)と成功の関係が説明されています。
 ジェームズ・アレンの著書や思想はD・カーネギーやナポレオン・ヒルにも影響を与えたと言われていて、彼らの著書にアレンの思想が反映されているらしいです。
(ナポレオン・ヒルはまだ読んでいないし、D・カーネギーの「人を動かす」を読んだのは小学校高学年の時なので内容をほとんど覚えていないので、読んでみたいです。)

 本の内容は、ユングの提唱する「集合的潜在意識」やS・コヴィの「7つの習慣‐原則中心のリーダーシップ‐」の内容と一致する部分が多く(「7つの習慣…」はこの本の現代版解説本じゃないかと思うくらい内容が似ていて)、100年以上前に出版された本だけれど現代に生きる人にも参考になると感じました。
 著者自身が作品の中で、「原則は廃れないが、詳細は廃れるのでこの本にはビジネスの詳細は書いていない」と言及しています。
原則に重点を置いたため、現在まで読み継がれるロングセラーになったのではないかと思います。

 この本は原則に重点を置いた内容だけれど、原則を説明するために比喩や例えや引用は使われています。
 この本の書かれた時代は、哲学が広く研究されていた時代で、本の中にもカントやエマーソンの著書や言葉の引用が所々に見られます。
 まだ心理学の分野が学問として確立される前の黎明期で、発達障害や人格障害もサイコパスやソシオパス等の存在も発見されていなかった時代でした。
 また、その当時の文化や生活様式(フェミニズム運動がまだ起こっていなくて女性の活動に制限があった。外燃機関から内燃機関への移行期。大量生産が大量消費の文化の先駆けの時期。)の背景などを考慮に入れながら読まないと、例として挙げられたその当時の情報だけに目が行ってしまって「現代の生活には使えない」と誤解してしまうのではないかと感じました。

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「原因」と「結果」の法則"

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2015年5月31日 (日)

Nasty People
どこにでもいる「イヤな奴」とのつきあいかた

Dsc04375s 一昨年(2013)の秋に"People of the Lie"(邦題「平気でうそをつく人たち」)を読んで以来、"Dinosaur Brains"(邦題「ディノザウルス考現学」)や「7つの習慣」など、80年代~90年代にかけての実用心理学や心理学を応用した自己啓発本?を読む事が多くなっています。

 元々はの職場での人間関係のトラブルの解決方法を探して読み始めたのですが、読んでいるうちに、私の生活や発達障害への対応にも役立つ考えが沢山あって、興味が湧いて、似たような系列の読書が続いています。

 "Nasty People-How to Stop Being Hurt by Them without Stooping to Their Level"(邦題「どこにでもいる『イヤな奴』とのつきあいかた」)も、1990年代に出版された本で、この記事の画像の本は改訂版で2003年に出版されています。
 日本語版は集英社から2004年に単行本が出版されています。

 著者のジェイ・カーターは、大学やアダルトスクールで心理学やコミュニケーションについての講義をしていて、アダルトスクールで教えた生徒が、彼の"Invalidation"の仕組みについての講義を聴いて人生が変わるほどの影響を受けて、同じ事で悩んでいる人のためになればと、ジェイ・カーターの"Invalidation"についての論文を配っていたのですが、それを読んだ人たちが、もっと多くの人に広めるためにジェイ・カーターに本を執筆するように頼んで出版される運びになったそうです。

 この本の中心になっている"Invalidation"と言う言葉の定義は他人を貶めることによって自分を優位にする(見せる)または優越感を得る行為のことで、相手の自尊心を破壊して操る事が目的です。
 "Invalidation"を行う人を"Invalidator"(日本語訳では「イヤな奴」)と、(この本では)呼んでいていて、誰もが一時的に"Invalidator"に豹変する可能性はあって、殆どが無意識でやっている。
 人口の1%が意図的に"Invalidation"を行う人で、これらの人は要注意らしい。
(1%についての記述は"People of the Lie"の内容と重なる部分があって、理解しやすかったです。)

 英語版のページ数はたったの100ページ。
ページ数が少ないことについて、著者は
「この本には"Invalidation"について基本的で重要な原則と、短い事例しか書いていない」
「料理の本と違って、一つ一つの手順を手取り足取り書いたHow toものではない」
「野球に関する本を何冊も読破しても、プロの野球選手になれないように、この本も読んで原則を理解して、読者個人個人のスタイルや状況に合うやり方を見つけていくしかない」
と、書いています。
 

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どこにでもいる「イヤな奴」とのつきあいかた"

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2015年1月27日 (火)

Tuesdays with Morrie<br>「モリー先生との火曜日」

Tuesdays_with_morrie_book_cover Tuesdays with MorrieはMitch Albom著のノンフィクション。
1997年に初版。

 

 この本は怪獣が学校の英語のクラスで読んでいた本で、面白そうなので図書館から借りてきた。

 

 著者のミッチはデトロイトで新聞のスポーツ欄のコラムニストをしている。
 彼は社会学の教授モリー先生の教え子で、大学を卒業して以来16年間、モリー先生には会っていなかった。

 

(↑http://en.wikipedia.org/wiki/Tuesdays_with_Morrie
より引用)

 

 ある日テレビのトークショーでモリー先生の特集をしていて、恩師のモリー先生が筋萎縮性側索硬化症(ALS)で、死期が近いことを知る。

 

 ミッチは16年ぶりにモリー先生を訪ね、毎週火曜日にデトロイトからボストン郊外のモリー先生に面会して、最後のレクチャーを受けることになる。

 

 本の主な内容は14回の会話を録音したものを、書き起こしてまとめたもの。
本を朗読したCDもあって、CDブックの最後のCDには、録音された本人の肉声が、短い時間だけれどついていた。

 

 日本語訳版も、電子書籍と本で「モリー先生との火曜日」の題で出版されている。

 

Dsc03939s また、この本を元にした同名のテレビ映画が1999年の12月にABCテレビで放映されていて、図書館にDVDがあったので借りて観賞した。

 

 モリー先生役をジャック・レモンが、ミッチ役をハンク・アザリアが演じている。

 

 本はノンフィクションだけれど、映画はフィクションで、人間関係などの細かい部分が変更になっていたし、レクチャーも(当然)全部はカバーされていなかった。

 

 例えば、本の中ではミッチは結婚しているのだけれど、映画の中では彼女はいるけれど独身。

 

 売れっ子コラムニストだったミッチが毎週火曜日モリー先生を訪れることができたのは、本の中では新聞社の入っているビルディングでストライキがあって、建物が閉鎖されて仕事が出来なかったためだけれど、映画では上司が配慮してくれたことになっている。

 

 また、本の中ではモリー先生に弟がいたが、映画では一人っ子ということになっている。

 

 どの映画にも言えることだけれど、原作を超える映画はないので、ぜひ、本の方を読むことをお勧めします。
(少なくとも、英語の本とCDは良書だと思った。CDはモリー先生本人の肉声が少し聴けたのも感動しました。)

 

 

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2014年9月20日 (土)

The Rosie Project

Dsc03062s The Rosie Projectは、オーストラリアの作家Graeme Simon著のロマンティック・コメディ小説。
 2013年初版。

 Don Tillman(39歳)は、遺伝学の科学者でオーストラリアの大学で講師を務めている。
 彼の趣味は武道で、子どもの頃から空手や合気道の練習を欠かさず理想的な体型、見た目もハンサム、大学の講師をしていて社会的な地位も収入もあるのに、彼女のいない歴=年齢。

 と、いうのも、彼は発達障害(アスペルガー)で、空気が読めなかったり、ジョークや皮肉が通じない。
 挨拶も、Hi(こんにちは)という代わりに、Greetings(こんにちわの古語)を使ったり、会話でYes(ハイ)の代わりにCorrect(正解)を使ったりと特殊な喋り方をする。

 おまけに、効率にこだわりがあって、曜日によって決められたスケジュールを時間通りに厳密にこなしている。
 スケジュールの変更は極力しない。
予定外の仕事や誘いなどが入った場合は時間を計算し、スケジュールを調整出来る場合のみ変更し、それ以外の場合は断るという徹底ぶり。
 曜日によって決まった食事を作り、行きつけのスーパーの店主も彼の食事に使う材料の種類や量まで把握していて、ちゃんと取り揃えている。

 大学の教授でDonの(数少ない)友達のGeneとその妻Claudiaは心理学者で、ClaudiaはDonのカウンセリングをしている。
 GeneとClaudiaの紹介で何人かの女性とお見合いっぽいデートをするのだけれど、空気が読めないために失敗してしまって、2度目のデートの約束に結びついたことがない。

 そんなある日、Donは質問事項のリスト(アンケート)を作って、自分の好みや考えと共通点が一致する女性とデートすれば上手くいくのではないかと考えた。

 GeneとClaudiaにそのことを話して、質問事項の作成に協力してもらい、「ワイフ・プロジェクト」と名前を付けて、花嫁候補の女性探しを始める…

 この作品は、日本語訳版が「ワイフ・プロジェクト」 という題で、講談社から出版されているようです。
日本語訳版はどうなのかわからないのですが、英語版は(ネタバレになっちゃうので、書けないけれど)色んな意味で面白い作品でした。

 この作品の続編The Rosie Effectという題で、2014年の12月に出版予定らしいです。

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2014年7月14日 (月)

Overflowing Brain
オーバーフローする脳

Overflowing_brain

 Overflowing BrainはTorkel Klingberg著のワーキングメモリーに関する心理学の本で、初版はスウェーデン語で2007年に出版、英語版の初版が2008年、日本語訳版が2011年に出版されています。

(←英語版の表紙※1)

 日本語訳版のタイトルは「オーバーフローする脳」で、翻訳者は苧阪 直行です。

 この本はワーキングメモリーについての、(当時の)最新の技術を使って、その働きや訓練の仕方などについての実験結果や、その他の関連する論文などの研究と考察を元に、ワーキングメモリーを訓練して発達させることができるのかどうかを検証していく内容でした。

Overflow(←日本語訳版の表紙※2)

 結論として、「人間はワーキングメモリーを鍛える事ができる」という事が書かれていたのですが、具体的な方法については詳しく書かれていませんでした。

 本の最初の部分では「ワーキングメモリーとは何か?」について、解説されていて、その後研究の結果や関連論文の考察なども交えて、説明が進んでいきます。

 また、ワーキングメモリーとADHDについての関連を考察する章もあって、興味深いと思いました。

 英語版を読んでいて思ったのは、(本は一般向と研究者両方向けということになっていましたが、)この本を読むには最低でも大学の教養レベルの心理学と教養レベルの生物学の知識がないと無理だと思いました。

 日本語版はどうなのかわからないけれど、英語版は気軽な楽しみのための読書には向いていない本だと思いました。 
(ワーキングメモリーについて興味のある、人にはいいのかもしれないけれど…)

↑の表紙の画像の参照

※1:http://www.amazon.co.jp/The-Overflowing-Brain-Information-Overload/dp/0195372883/ref=pd_rhf_ee_p_t_1_FM2S#reader_0195372883
より引用

※2:http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4788512610/ref=dp_image_0?ie=UTF8&n=465392&s=books
より、引用

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