ライティングの神様?降臨
私は文章を書くのが非常に苦手で、遅筆でもあります。
日本語でその状態なのだから、母国語でない英語で文章を書くのは更に苦労しています。
2005年に母子留学した時、最初に通った大学付属のESL(語学学校)は(以前の記事にも書いたのですが)カリキュラムがとても厳しい学校でした。
特にライティングは厳しくて、一番上のレベルでは大学の教養のEnglish/composition(文法)のクラスで教えている内容とほぼ同じことを教えていました。
(米国の)学校で使われるライティングは形式などが決まっていて、文法や修辞法を正確に使ってテンプレートに当てはめていけば、誰でもそこそこの文章を書けるようにはなります。
基礎になるテンプレートは小学生も大学生も同じで、内容の深さや文法や修辞法のレベルだけが違う感じです。
文法やレトリックなどは技術的な部分で学校でも教わるし、繰り返し使うことによって誰でも身に着けることもできますが、内容やそれを展開していくのは創造的な作業で個人差が大きいし、学校の授業で学ぶことが難しい部分です。
英語でLanguage Arts(学校で教わる話し方・書き方の科目)と言いますが、英語で文章を書いていると文学作品に限らず文章を書くという事はArtなのだと感じます。
私は文章を書くのが遅い自覚はあるので学校のペーパーを書く時は、資料集めなどの準備は早くから始めるのですが、資料(ネタ)は目の前にあるのに、文章の構成や組み立てが進まないという事が度々起こります。
結局構想が纏まらず、アウトラインを書いたりペーパーを書き始めるのは提出期限の2日前くらいになってしまうこともあります。
構想など創造的な部分を文字などに変換する作業は、文法のように万人共通のやり方があるわけではなくて、個人によって様々のようです。
漫画家の萩尾望都さんが作品を生み出す時の様子を漫画に描いておられるのですが、構想が思い浮かんだ時は、自分の頭の上に構想が複雑で巨大な分子構造のモデルのような形で乗っているような感覚で、一歩でも動いたり誰かと話したりするとその構想の分子構造モデルが瓦解してしまうということでした。
私の場合は、頻度は低いのですが映画のシーンやプロットのように流れが浮かんできて、それを順番に文字に書き留めていくと文章が出来上がることがあります。
私はこの状態をライティングの神様が降りてきている状態と呼んでいて、この状態の時は流れるようにサラサラ書き上げることができるし、書いたペーパーなどは後で読み返してみて、「本当に私の書いたものなのか?」と、思うくらいの出来で、評価(成績)もいいです。『たいへんよくできました』レベル。
(提出前にライティング・チューターに持って行って、言葉選びやスペルミスやフォーマットなどのチェックは受けるので、厳密には全て自力で書きあげたとは言えないのだけれど、有名なライターさんでも作品を発表する前には校正を受けるのだから、自力で書いたといってもほぼ差し支えないと思う。)
問題はこの神様、必要な時に毎回降りてくれるわけではないことです。
神様が降りてこない時は文字通り『自力』で取捨選択・試行錯誤・行きつ戻りつを繰り返しながら文章を書いていくことになり、時間もかかるし出来も良くない。相当努力しても『よくできました』レベル。
特にTOEFL(トーフル:米国留学のための英語学力検定テスト)の30分ライティングのような時限のある課題は神様が降臨される時間もないのか、いつも惨憺たる結果に終わります。
ESLにいた頃、30分の短いエッセイとライティングのクラスで提出した(神様が降臨した時に書いた)エッセイを読み比べた試験官が、「同一人物が書いたとは思えない」と、代理ライターの存在を疑われたこともありました。
その時はライティングのクラスの教師が、「yuukiは時限のあるエッセイが苦手だけれど、十分な時間が与えられれば素晴らしい文章の書ける生徒です。」と、弁明をしてくれて助かりました。
この記事もライティングの神様なしで書いているので、書いては削りでかれこれ4日間くらいかけて書いています。
(4日間と言っても、一日中書いているわけではないですが…)
「ライティングの神様、必要な時にいつも降臨してくれたらなぁ…」と、思います。
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